令和5年12月定例会で一般質問を行いました

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○1番(深谷勝仁) 1番議員 深谷勝仁でございます。

 9月から任期が開始しての初めての一般質問となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 現在、地域社会が急速な少子高齢化の進行や、地域住民のつながりが希薄化している中、福祉に関する問題が複雑化し、社会的孤立、ダブルケア世帯、8050世帯等の複合化した問題が増加傾向にあり、支援が困難化するケースが出てきております。

 そこで、高齢者、障がい者、子育て、生活困窮など、幅広い分野の横断的連携や地域の支え合いを築いて社会全体で支え合う地域共生社会の実現が求められております。

 そういった中で、当市では福祉関係機関だけでなく、地域のあらゆる人や社会資源を生かし、分野を超えて地域が丸ごとつながり地域で支え合いながら暮らす地域共生社会を目指し、令和4年度から須賀川市重層的支援体制整備事業を開始しております。

 閉じこもりや孤立、生活困窮等、多様な生活課題を抱えている人たちが増加しており、日々、様々な相談に対応していただいている市担当課職員の皆様、市社会福祉協議会を始め、様々な相談窓口の皆様に敬意を表します。

 これらの課題については、地域ごとに地域の協力と包括的なアプローチが必要となり、地域住民や行政、関係団体が連携し、地域それぞれのニーズに応じた福祉施策や支援体制の充実が必要であると考えています。

 そこで、今回は、高齢者支援、障がい者、障がい児支援、ヤングケアラーの支援についての大項目3点について質問をさせていただきます。

目次

1 高齢者支援について

(1) 認知症等に関する支援について

 まず、大項目1の高齢者支援について、(1)認知症等に関する支援についてであります。

 内閣府の高齢社会白書によりますと、日本で認知症有病者の推計は、現在、600万人以上、認知症の予備軍と言われる軽度認知障害の方は500万人以上に上っております。さらには、2025年に認知症有病者700万人時代が到来することが予測をされております。当市においても、統計発表の内容を確認しますと、10月1日現在、65歳以上の高齢者は2万2,154人であり、認知症有病者が5人に1人と推計をしますと、市内の認知症高齢者は4,430人となります。

 そんな中、認知症になっても自分らしく暮らしていくためには、早期発見や対応がとても重要になります。認知症を早期に発見することで、本人や家族が認知症への理解を深め、今後の介護や生活の方針を時間をかけてゆっくりと話し合い決めることができると思います。

 ここで、1点目の質問です。

 認知症支援には、当事者やその御家族の相談支援や必要な医療、介護などのサービスが受けられるよう関係機関と連携を図ることなどが必要と考えておりますが、認知症相談窓口に寄せられた相談件数について、市で把握している令和4年度の相談件数を、前年度との比較も含めて伺います。

 また、市で現在行っている認知症施策のうち、主にどのような事業に取り組んでいるかについて伺い、壇上からの質問とさせていただきます。

○議長(大寺正晃) ただいまの1番 深谷勝仁議員の質問に対し、当局の答弁を求めます。

(市民福祉部長 秡川千寿 登壇)

○市民福祉部長(秡川千寿) 1番 深谷勝仁議員の御質問にお答えいたします。

 認知症相談窓口に寄せられました相談件数につきましては、令和4年度は477件であり、前年度の285件と比較し192件増加しております。

 次に、市の認知症施策に係る主な事業といたしましては、認知症サポーター等要請事業、認知症伴走型支援事業、認知症高齢者見守り事業などを行っております。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁では、認知症に関する相談件数が増えてきていること、相談体制や見守り事業の充実を図っていることが分かりました。

 今年6月には、認知症の人が希望を持って暮らせるように、国や自治体の取組を定めた認知症基本法が成立いたしました。この法律により、地方公共団体は、基本理念にのっとり認知症施策を策定、実施することが責務とされております。当市においては、地域包括支援センターに配置されている認知症地域支援推進員や認知症伴走型支援事業を通し、相談体制については強化をされていると感じております。

 認知症伴走型支援事業については、全国的にも実施をしている自治体は11という少ない中で、先進的な取組が当市で行われていることは、市民としても安心して相談できる環境が整っていると感じております。

 そこで2点目の質問です。

 先ほどの答弁でもありました、認知症見守り支援事業の中で実施をされております、すかがわSOSネットワーク事業について伺います。

 この事業は、認知症の疑いがある高齢者や障がい者等が行方不明になった際、登録した協力者に電子メールなどで情報発信し捜索を依頼することで、早期発見、保護を支援するものです。そこで、このSOSネットワーク事業における、令和4年度末時点での登録者数と支援登録者数、捜索発動件数について伺います。

 また、行方不明の状態が一定時間経過後に、近隣市町村への広域的な情報提供や捜索活動依頼を行っているのかについて伺います。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 すかがわSOSネットワーク事業の令和4年度末の登録者数でありますが、168人、支援登録者数は583人で、令和4年度中の捜索発動件数は3件であります。

 近隣市町村への依頼等につきましては、必要に応じて行うこととしております。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁で、ほか市町村との連携も図っているとのことでしたが、市内の中でも、隣接市町村寄りに住んでいる市民の方においては、自宅周辺の散歩などでも市外を歩くこともあると思います。冒頭で申し上げたとおり、認知症有病者700万人時代が予測されている中で、認知症になっても御家族や行政、地域の支えによって安心して自宅で暮らし続けられることが重要と考えます。

 以前、私が地域包括支援センター在職時に、当市における地域包括ケアシステム作成が始まりました。その際の協議体や地域の支援者からは、認知症になっても安心して暮らすことができる須賀川市をつくろうというような意見も出されていたことがありました。

 ここで、3点目の質問です。

 認知症状が出ている方が自宅へ戻れなくなった場合には、早期発見が求められます。そういったことから、今後はより一層、近隣の市町村との連携が必要になってくると思われますが、今後の行方不明者が発生した場合等の対応について、当市の認識をお伺いいたします。

○市長(橋本克也) ただいまのご質問にお答えいたします。

 今後も進行する高齢化による認知症高齢者の増加を踏まえ、他市町村との連携強化は必要であると認識しております。

○1番(深谷勝仁) ただいま市長から答弁をいただきましたが、是非近隣市町村との連携を更に強化をしていただき、広域的な支援体制構築を進めていただければと思います。

 4点目の質問に移ります。

 平成31年4月1日には、須賀川市において手話言語条例が制定されました。この条例は、手話を言語として位置づけ、手話の普及により手話を必要とする人があらゆる場面で情報を得ることができる、そして、聞こえる人も聞こえない人も、互いに支え合いながら安心して暮らすことができる地域社会を目指すと明記されています。

 この須賀川市における条例制定は、手話を必要とする市民の皆様の権利を守るとともに、積極的な社会参加ができる環境整備により、多くの人の力になり、勇気を与えていることと思います。

 そこで、認知症支援に関する条例について調査をしたところ、東京都世田谷区や千葉県浦安市、兵庫県明石市、島根県浜田市等では、既に認知症に関する条例を定め、地域全体で協力体制を強化するような取組が行われております。

 当市においても、様々な認知症支援を展開する中で、市民、行政、福祉医療関係者が理念条例に基づき同じ方向を目指すことが重要であり、認知症になっても安心して暮らすことができる須賀川を目指していくためには、認知症支援に関する条例の制定が必要と考えます。

 そこで、条例制定についての市のお考えをお伺いいたします。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 令和5年6月に国において可決されました、共生社会の実現を推進するための認知症基本法の基本理念に基づき、次期高齢者福祉計画、介護保険事業計画におきまして、認知症本人の意向が反映された認知症施策の構築などを盛り込むこととしており、現時点では条例を制定する考えはございません。

○1番(深谷勝仁) 福祉計画において、認知症施策の構築を盛り込むということで、条例制定については取り組む予定はないとの答弁でした。繰り返しにはなりますが、当市においては、手話言語に関するすばらしい理念条例があります。先ほど紹介したとおり、全国的にも認知症支援に関する条例制定の動きがあります。このような理念条例については議員提案も可能と思われますので、議員として議会の中で研究を更に続けていきたいと思います。

(2) 介護人材の確保について

 次に、大項目1の(2)介護人材の確保についてであります。

 高齢化が進む日本では介護サービスの需要は増す一方です。厚生労働省、経済産業省の資料を確認しますと、要介護認定者は、2000年度に約218万人だったものが、2015年には600万人を超え、2040年には1,000万人に迫ると推計をされております。

 利用者数が伸びれば、必然的に介護現場を支える人材も増える必要があります。厚生労働省の資料によると、2000年に約55万人だった介護職員数は2012年にはおよそ3倍の163万人まで増加しました。しかし、急増する要介護者数に追いつかず、現在は慢性的な介護人材不足が起こっています。2022年には介護業界からの離職者数が入職者数を6万3,000人ほど上回り、初の離職超過となっております。2025人には32万人、2040年には、その倍以上の69万人もの介護人事が不足すると推計をされております。須賀川公共職業安定所の11月発行、須賀川統計月報によりますと、当市の10月新規求人倍率は1.76倍となっており、産業別に見ると医療福祉分野が最も多く全体の24.8%を占めている状況です。

 そこで、1点目の質問です。

 介護人材不足に関する当市の認識についてお伺いいたします。また、それに対する現在の取組状況について伺います。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 介護人材の確保につきましては、市におきましても全国と同様に現状は大変厳しいものと認識をしております。

 このため、市といたしましては、事業所の対し介護職員の業務負担軽減を図るためのICTの活用に関する情報提供を行うなど、県と連携しながら人材の定着に向けた取組を行っているところでございます。

○1番(深谷勝仁) 市のほうとしても、大変厳しい状況と認識をしているとのことでした。市内の福祉事業者の皆さんと意見交換をさせていただくと、多くの事業所で人材がいない、求人を出しても問合せもない状況で困っているなどとのお話を聞いております。

 そんな中で、当市においても介護人材不足は深刻な状況であり、介護が必要なのに適切な介護サービスが受けられない介護難民などの課題が起こることが予想をされています。

 そこで、2点目の質問です。

 当市においても、高齢者福祉計画、介護保険事業計画の令和6年度策定に向け協議を進めているとヒアリングで伺っているところではありますが、この介護人材不足の課題については、どのように計画に盛り込んでいく予定なのか伺います。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 本計画におきましては、これまでの取組に加え、資格の有無によることなく従事できる仕事の把握や、介護事業所等で働きたい人とのマッチングを行うなど、幅広い人材を確保していく取組を盛り込む考えであります。

○1番(深谷勝仁) 市民の皆さんが適正な福祉サービスが受けられるよう、福祉計画に沿ってしっかりと人材確保へ取り組んでいただけることをお願いしたいと思います。

 私の調査によりますと、介護人材不足においては、介護福祉士を要請する専門学校などにおいても定員割れの状況もあり、福祉の道を目指す若い世代が少ないことが分かります。現状の課題に対してもそうですが、10年先を見据えた福祉人材確保については、若い世代への福祉教育が大切になってくると考えます。

 そこで、3点目の質問です。

 若い世代への福祉教育についての一つの手段である認知症サポーター養成講座に関して、令和4年度の年間受講者数と、現在までの累計受講者数について伺います。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 認知症サポーター養成講座の令和4年度の年間受講者数は232人であり、現在までの累計受講者数は7,117人であります。

○1番(深谷勝仁) 令和4年度は232名の受講者とのことでした。先を見据えた人材を確保するためには、児童期から福祉というものに触れ合う機会が必要と考えています。核家族化も進み、福祉を必要とする場面に遭遇することがなく進路や職業選択時期を迎えることも少なくないと思います。

 そんな中、西袋第一小学校においては、平成20年から現在まで16年間にわたり、6学年の生徒が毎年認知症サポーター養成講座を受講しています。統計が取れている人数でいいますと、平成20年から令和3年までで1,303名のサポーターが西袋第一小学校から誕生しています。2020年5月には、西袋第一小学校の教育指針として掲げている「ともに生きる」に沿って介護福祉に関する事業やボランティア活動が評価され、日本認知症ケア学会から実践ケア賞を受賞しています。

 ここで、1つ事例を紹介したいと思います。

 学区内の西袋地域で運営をしているある福祉事業所では、令和元年の水害時に、認知症サポーター養成講座を受講した西袋第一小学校の卒業生たちが、何か手伝えることはありませんかと水が引けてすぐに後片づけに駆けつけてくれたそうです。小学校生活6年間で1度の養成講座でも、そのときに受講した経験から、困っている人がいたら手を差し伸べる優しさを兼ね備えてくれたのかもしれません。

 毎年、小学校での認知症サポーター養成講座を担当する講師の方に、どういう思いで小学生に対し講座を行っているのか伺ってきました。担当の方は、認知症の理解ができれば一番いいが、小学生のうちに感じてもらいたい人に対する思いやりや育み、相手のよいところを探す機会をつくる、誰かのために何かをする時間を考える等、福祉という大きな枠組みで感じ取ってもらえればうれしいと話していました。

 ここで、4点目の質問です。

 先を見据えた福祉人材確保に向けて、認知症サポーター養成講座を年に1度でも市内全小学校で開催することが必要と考えますが、当市の考えをお伺いします。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 認知症サポーター養成講座につきましては、現在、市内の一部の小学校で実施をしておりますが、庁内関係部局や学校等と協議をしながら、可能な限り広げていきたいと考えております。

○1番(深谷勝仁) 庁内関係部局や学校等と協議をしながら、可能な限り広げていきたいとの答弁でした。是非早い段階で教育委員会や関係部署で協議をしていただき、福祉教育を進めていただければと思います。

 この認知症サポーター養成講座を担当できる講師をキャラバンメイトと呼びますが、私の調査によりますと、市内にはこのメイトが約100名いるとのことでございます。私自身もキャラバンメイトではありますが、そのメイトの経験を生かすためにも市内の講座開催の機会を増やし、認知症に対する見守り体制の強化及び人材確保につなげていただけるよう提言をさせていただき、次の質問に移ります。

2 障がい者、障がい児支援について

 次に、大項目2の、障がい者、障がい児支援について。

(1) 親亡き後の支援について

 (1)親亡き後の支援についてでありますが、この親亡き後とは、障がいにあるお子さんを持つ親御さんが、自分が亡くなった後のことを不安に思う親亡き後の支援のことです。障がいのあるお子さんを誰がサポートしてくれるのか、1人で生活をしていけるのかなど、不安要素はたくさんあると思います。私のところにも、市民の方から将来のことが心配で何を準備をすればよいのか、本人に何を教えておけばよいのかなど相談をいただいています。

 深刻な親亡き後の問題ですが、日々の不安解消のためにも、早いうちから対策を考えて行動することが大切になると思います。

 ここで、1点目の質問です。

 障がい者の親亡き後、また、親亡き後に備えた支援について、市が把握している支援が必要とされる障がい者の人数をお伺いいたします。

 また、それらに対する支援はどのようになっているのか伺います。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 支援が必要とされる人数につきましては、障がい者の支援を行う相談支援事業所を通して本年3月にまとめた調査結果から、38人と捉えております。

 また、これらの方々に対しましては、日常的に相談支援専門員が関わっており、突発的な困り事や緊急時などについても対応できるように支援を行っているところであります。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、相談支援事業所の相談支援専門員が関わり把握している人数が38人とのことでした。市内においては、900人以上の障がい福祉サービスの利用者がいる中で、市内で計画作成を相談する相談支援専門員は、専従が9名、兼務が7名という厳しい状況で対応をしていただいています。多い方だと100名ほどの利用者さんを担当し、定期的な訪問や相談対応が追いつかない状況ともお聞きします。そういった中、障がい福祉の充実を図るため、障害者総合支援法の一部改正により、令和6年4月1日から地域生活支援拠点等の整備が市町村の努力義務とされます。この地域生活支援拠点等は、障がい者の重度化、高齢化や親亡き後を見据え、緊急時における相談や一時的な受入態勢の確保、地域移行に向けたサービスの体験利用に関わる調整等の機能を担う事業です。

 ここで、2点目の質問です。

 地域生活支援拠点等の整備について、本市の現状と整備開始の時期についてお伺いをいたします。

○市長(橋本克也) ただいまのご質問にお答えいたします。

 地域生活支援拠点の整備につきましては、須賀川市、鏡石町、天栄村の3市町村で設置しております須賀川市地方地域自立支援協議会において協議を行っているところであります。

 また、整備の時期につきましては、現在策定を進めております市第7期障がい福祉計画の期間内において整備できるよう、検討を進める考えであります。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁では、市第7期障がい福祉計画の期間内の整備ということでありました。計画期間内というと3年以内の整備検討ということになるかと思います。今回の質問をするに当たり調査をしたところ、全国でも6割以上の自治体で整備が完了する中、県内においては、中通りのみで示しますと、29市町村中、当市も含め7市町村のみが設置なし、若しくは設置時期未定となっております。

 ここで、3点目の質問です。

 今の現状から、本市の地域生活支援拠点等の整備について、開始時期の目途が立たない課題は何かお伺いをいたします。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 主な課題といたしましては、障がい特性に応じてコーディネートできる人材の確保や緊急時に受入れ可能な施設等を有する事業所がないことなどであります。

○1番(深谷勝仁) 現状の課題については理解をいたしました。

 答弁では、受入れ可能な施設等を有する事業所がないとのことでしたが、ほか市町村の整備状況を確認しますと、既存の事業所と連携を強化し、行政や福祉事業所が協力をし、緊急時における相談や一時的な受入れを行っております。

 本市においても、ハード面の整備ではなく、ソフト面の整備強化において連携強化が必要と認識をしております。今後とも、引き続き自立支援協議会等を活用し、早期の体制整備実現に向けて注力をいただければと思います。

 次に、大項目2の(2)医療的ケア児支援についてです。

 医療的ケア児とは、日常生活及び社会生活を営むために、医療的ケアと呼ばれる人工呼吸器による呼吸管理や、喀たん吸引、そのほかの医療行為を受けることが不可欠な児童であります。近年の医療技術の進捗に伴い医療的ケア児が増加しており、全国の推計では在宅生活を送っている医療的ケア児は約2万人とされています。

 各地域で十分な支援を受けられている医療的ケア児は少数であり、支援に大きな課題があることから、令和3年9月に医療的ケア児を子育てする家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その御家族の離職を防止する目的で医療的ケア児支援法が成立いたしました。この法律は、医療的ケア児を法律上でしっかりと定義し、国や地方自治体が医療的ケア児の支援を行う責務を負うことを初めて明文化した法律です。法律の成立により、各自治体は保育所、認定こども園等や小学校、中学校等の義務教育学校での医療的ケア児の受入れに向けて支援体制を拡充する責務を負うこととなっております。

 具体的には、医療的ケア児が家族の付添いなしで希望する施設に通えるように、保健師、助産師、看護師や准看護師、又はたんの吸引等を行うことができる保育士や保育教諭、介護福祉士等の配置を行うこととなります。

 そこで、1点目の質問です。

 本市の医療的ケアが必要な児童の令和4年度と令和5年度の人数と年齢、市立たけのこ園での取組状況、医療的ケア児等、コーディネーターの配置についてお伺いをいたします。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまのご質問にお答えをいたします。

 医療的ケアが必要な児童についてでありますが、令和4年4月1日現在10名で、年齢別にゼロ歳、1歳、3歳、8歳、10歳、13歳が各1名、2歳、7歳が各2名であります。令和5年4月1日現在13名で、年齢別にゼロ歳、4歳、8歳、9歳、11歳、15歳が各1名、1歳、2歳が各2名、3歳が3名であります。そのうち、市立たけのこ園では2名を支援をしております。

 また、医療的ケア児等コーディネーターにつきましては、相談支援事業所4か所に各1名配置をしており、医療的ケア児とその家族への相談支援を実施しているところであります。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、本市においても、医療的ケアが必要な児童が増えてきていること、児童発達支援事業者の指定を受け、市で運営しているたけのこ園で対応していることが分かりました。そのサポート体制を支援する医療的ケア児コーディネーターも、市内に4名配置されて対応をしているとのことでした。

(2) 医療的ケア児支援について

 ここで、2点目の質問です。

 就学前の医療的ケア児について、令和5年度における保育施設等への入所者数とその受入れについては、どのような対応をしているのかお伺いをいたします。

 また、令和6年度の新たな入所希望者数及び対応について伺います。

○教育部長(角田良一) ただいまのご質問にお答えいたします。

 令和5年度の医療的ケア児の保育施設への入所者数は2名であり、その対応につきましては、保護者が1日1回程度来園し、必要な医療的ケアを行うなどの協力を得ながら受入れをしているところであります。

 また、令和6年度の新たな入所希望者は1名であり、現在、関係施設などと連携を図りながら入所の調整を進めているところであります。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁から、保護者が来園し、必要なケアを行うことができればという条件で2名の受入れをしていただいていることが分かりました。条件はあるものの、受入れを行っていただいていることについて敬意を表します。

 今回の質問をさせていただくに当たり、医療的ケア児を持つ市民の方にお会いをし、お話を伺ってきました。お話を伺ったお母さんは、自分の子供がほかのお子さんと同じ環境で子供らしく様々な体験をさせてあげたい。おむつ代や様々なケア用品には公的な助成では対象にならないもの多く、どうしても費用がかかる。そのためには、働かなければいけない。しかし、子供を預かってもらえるところがなく働くことができない。医療ケアが必要な子供でも保育所に通わせてあげたいと強く思っていますと時折涙を浮かべてお話をしてくれました。御家族のお話から、医療的ケアが必要でもほかの児童と同じ保育所等へ通所させたいという思いはどの親御さんにもあること。医療的ケア児を持つ御家族でも離職せず仕事を続けられないと日常生活を送ることが難しくなること等が分かりました。

 全国的な調査でも、医療的ケア児を持つ世帯の収入は、預かり場所が見つからないこと等から仕事に復帰できず、世帯平均年収よりも少ない傾向にあるとのデータもあります。障がいや医療的ケアの有無にかかわらず、安心して子供を産み育てることができる社会を目指すことが当市にも求められてきていると思います。

 来年度入所を希望している1名についても、答弁にありましたが、入所に向けて関係機関と連携を図り進めていただければと思います。

 そこで、3点目の質問です。

 国においては、保育所等における医療的ケア児とその家族を支援するためガイドランを策定し、各保育施設等において医療的ケアを実施するなど、適切な支援が受けられるよう求められております。

 そこで、本市においての保育所等における医療的ケア児受入れに関するガイドライン策定の取組状況についてお伺いをいたします。

○教育長(森合義衛) ただいまのご質問にお答えいたします。

 ガイドラインの策定につきましては、医療的ケア児や保護者の状況を把握し、集団保育の可否や医療的ケアへの対応及び保育所等での受入れの可能性など、保育の視点に加え、医療的な視点の配慮が必要であります。

 そのため、課題の整理や対応策について検討しているところでありまして、早期のガイドラインの策定に向けて取り組む考えであります。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁では、既に検討中であり、早期の策定に向けて取り組む考えとのことでしたので、是非早い段階でガイドラインを策定していただき、医療的ケアが必要な児童も保護者の同伴がなくても、ほかの児童と同じ環境で受入れができる環境整備の実現に向けて期待をしたいと思います。

 また、国で行う医療的ケア児保育支援事業について調査をしたところ、自治体がガイドライン等を整備し、医療的ケア児を受け入れる保育所等に看護師等を配置した場合には、人件費や研修費等は補助をされるようです。当市においても、ガイドラインを策定することで、人件費等について補助の可能性があるのではないかと思いますので、国の補助利用についても提言をさせていただき、次の質問に移ります。

3 ヤングケアラー支援について

 大項目3、ヤングケアラー支援についてです。

 ヤングケアラーとは、日本ケアラー連盟が、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケアの責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子供と定義をしています。

 日本の社会状況の変化により、1世帯当たりの人数の減少やひとり親家庭の増加、共働き世帯の増加などが要因でヤングケアラーが増加傾向にあると言われています。

 そこで、福島県は、令和4年9月から11月に子供の生活実態に関するアンケート調査を行い、その結果が令和5年2月10日に公表されました。その中で、家族の世話をしていると回答した人は全体の5.9%の6,049人でした。

 そこで、1点目の質問です。

 今回の調査における本市の回答状況として、学校種別ごとの家族のお世話をしている人がいる、自分がヤングケアラーであると思うと回答した人数と割合、更には県全体と比較して、どのような傾向にあるのかお伺いをいたします。

○教育部長(角田良一) ただいまのご質問にお答えいたします。

 本市の回答状況につきましては、「家族のお世話をしている人がいる」と回答したのは、小学校5、6年生が88人で8%、中学生が88人で6.5%、高校生が59人で5.0%、全体では235人で6.5%であり、県全体の5.9%と比較し0.6%高くなっています。

 そのうち、「自分がヤングケアラーだと思う」と回答したのは、小学校5、6年生が10人で11.4%、中学生が9人で10.2%、高校生が4人で6.8%、全体では23人で9.8%であり、県全体10.4%と比較し、0.6%低くなっています。

○1番(深谷勝仁) 家族の中での手伝いとケアとの線引きが非常に難しく、この数字が全てヤングケアラーにつながるとは限りませんが、ヤングケアラーの中には、ケアをすることが当たり前だと思うことが多く生活の一部となってしまいます。相談相手がいないことにより、孤独感を抱えている場合は、周囲の人に言っても無駄と感じたり、自分さえ我慢すればよいというような考えに至ることもあります。

 ヤングケアラーを続けることで、小中学生の時期に十分な経験を積めないまま社会に出ることになる。学業を途中で断念することになったり、進路を選択できなくなる。子供の年齢相応の体験等をすることがないまま大人になってしまう等というような問題が起こる可能性が高くなります。

 そこで、2点目の質問です。

 現在の当市におけるヤングケアラー支援についての取組について伺います。

○教育部長(角田良一) ただいまのご質問にお答えいたします。

 本市におけるヤングケアラーへの支援につきましては、児童虐待防止相談室などにおいて、相談員が専門的な役場から相談に応じ、アドバイスを行っているほか、内容により県中児童相談所などの専門的な相談機関と連携を図りながら適切に対応しております。

 また、今年8月から、子育て世帯訪問支援事業により、家事や育児の支援を行うヘルパーの派遣について事業を開始したところであり、支援が必要な家庭に対して制度の案内も行っております。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁から、様々な機関と連携をし対応をしているとのことでした。

 今年から開始した子育て世帯訪問支援事業のヘルパー派遣についても、支援が必要な家庭にとっては非常に有効で、生活支援だけではなく、精神的な手助けになる事業であり、引き続き制度の周知等を図っていただければと思います。

 ヤングケアラーを支援するに当たり、ケアラーとしての自覚がない子供を早期発見できる仕組みづくりに向けては、教育分野、児童福祉分野、高齢福祉分野、障がい福祉分野がチームとして支援できる体制強化が重要となります。それぞれの支援機関がお互いの役割を理解することで、連携の力を最大限発揮できるようになると考えます。

 最後になりますが、それぞれの支援者が日頃から顔の見える関係を築いていただき、家庭内にケアが必要な家族がいても、子供が子供らしく過ごすことができ、健やかな成長が送ることができるようサポートを続けていただけるよう提言をいたしまして、私の一般質問を終わります。

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