令和6年3月定例会で一般質問を行いました

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○議長(大寺正晃) 次に、1番、深谷勝仁議員。

(1番 深谷勝仁 登壇)

○1番(深谷勝仁) 1番議員、深谷勝仁でございます。

 質問に入る前に、本年1月1日に発生しました令和6年能登半島地震により亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 皆様においては、本年1月1日をどのように過ごされたでしょうか。

 午後4時過ぎに当市にも緊急地震速報が流れ、とても不安な気持ちでテレビやラジオ、ネット中継などから流れて来る情報を見たり聞いたりしていたのではないでしょうか。中には東日本大震災を思い出し、様々な感情に襲われた方々もいたことでしょう。

 「災害は忘れた頃にやって来る」と言われていた時代もありましたが、今は、災害は忘れる前にやって来る、こう言われる時代になってまいりました。

 須賀川市第9次総合計画政策2の1にもあります防災減災対策の推進にもあるように、私たちは東日本大震災や令和元年東日本台風、本年の能登半島地震などの過去の度重なる災害の教訓を踏まえ、防災体制と災害時の支援体制の充実が求められています。

 大きな災害になればなるほど、緊急時の公助の力は発揮しにくくなると思います。

 そんな中、自助、共助の取組が重要となりますが、地域防災は地元の住民が主体となり、協力体制を構築することが不可欠です。

 地域全体が一丸となって万が一に備え、危機への迅速な対応が可能な支援体制を築いていくことが求められます。また、災害への備えとして、市民一人一人の防災意識の醸成を図る防災教育も重視されます。地域住民や学校、企業などにおいて、定期的な訓練を実施し、適切な行動や対応策を身に着けることも重要であります。

目次

1 防災対策について 

(1) 地域防災について

そこで、今回は大項目1として、防災対策について質問をいたします。

 (1)地域防災についてであります。

 まず、冒頭でも申し上げたとおり、地域防災を強化なものとするには、地域コミュニティの結束が不可欠であります。災害時においては、地域住民同士の信頼と連携が迅速かつ効果的な対応を可能にすると言われています。さらに、地域の特性や社会資源を日常的に理解し、住民参加型の防災対策を実施することが求められます。

 須賀川市第9次総合計画策定に当たり、令和3年に実施した市民まちづくりアンケートにおいて、市民が選ぶ施策の重要度指数においても、防災減災対策の推進が最も高いという結果からも重要なテーマかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問をさせていただきます。

 市民の防災意識を向上させるため、当市において防災教育についてはどのような取組を実施をしているか。

 また、その取組を実施する中で、どのような課題があるか。

 さらに、その現状の課題に対しては、どのように対策を進めていくのか伺い、壇上からの質問といたします。

○議長(大寺正晃) ただいまの1番、深谷勝仁議員の質問に対し、当局の答弁を求めます。

 市長。

○市長(橋本克也) 1番、深谷勝仁議員の御質問にお答えいたします。

 市民の防災意識を向上させるため、地域のリーダー的存在となる方を対象に防災に関する講習会を実施しているほか、町内会や学校などからの依頼により、出前講座を行っております。

 また、課題としましては、講習会などへの参加者が、各地区の代表者や役員などに限られてしまうという点があり、これらを踏まえ、更なる意識向上を図る取組が必要であることから、家族で防災を考えるきっかけづくりを目的に、市庁舎において防災フェアを開催し、市民の防災意識の醸成に努めたところであります。

 今後も、参加しやすい講座の開設や、地域の出前講座を増やし、防災意識の向上に努めていく考えであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁から、地域の防災リーダーの養成や出前講座を通し、防災教育を図っていることが分かりました。

 しかし、住民一人一人までの防災意識の醸成まではつながっていないということで、今後の防災フェアや出前講座、訓練等を通して市民の防災教育を進めていただければと思います。

 昨年の防災フェアには、私もお邪魔をさせていただき、各ブースを回らせていただきましたが、本当に多くの市民の皆様が訪れていました。多くの市民が参加している防災フェアですが、今後はフェアにとどまらず、フェアに訪れた市民がそのまま防災訓練にも参加できるような取組も必要と思いますので、提言をさせていただきます。

 平成25年の災害対策基本法の改正では、地区における自発的な防災活動に関する地区防災計画制度が創設をされました。地区防災計画は、一定の地区の地域住民及び事業者が、主体に行う防災活動に関する計画です。

 実際に、その地区に住み、地区の特性をよく把握している人たちが地区の不安や課題に応じて自由に作成することができます。

 能登半島地震においても、日頃の取組が功を奏した地区がありましてので、御紹介をいたします。津波が到達するも、誰一人と犠牲者が出なかったのが、石川県珠洲市三崎町寺家の下出地区です。この地区住民は、「何かあったら集会場」を合言葉に10年以上前から避難訓練を続けていたということです。

 今回の地震において、避難が成功した一番の理由は、逃げる場所が地区住民にとって訓練などで行き慣れた場所であったということだと言われています。

 通常、「早めに避難しましょう」と呼びかけても、避難が進まない壁の一つは、避難指示などの情報が届かないという前に、そもそも、その避難場所に行ったことがないということが挙げられます。人は、行ったことのない場所に対し、非常に腰が重くなる傾向があります。

 避難時には、その避難先へ行き慣れておくことが重要になると思います。

 近年の頻発する、激甚化する自然災害に対応するため、確実な避難等により命を守り、守った命をつなぐ自助、共助の取組を推進することが喫緊の課題であります。

(2) 避難行動要支援者への対応について

 そこで、2回目の質問です。

 当市における防災に関する各町内会、行政区において、自主防災組織はどのくらい組織がされているのか伺います。

 また、各町内会や行政区単位で地区防災計画の作成については、現在、どの程度進んでいるのか。

 さらに、今後の地区防災計画への取組について伺います。

○議長(大寺正晃) 総務部長。

○総務部長(野崎秀雄) ただいまの御質問にお答えいたします。

 自主防災組織につきましては、市内の町内会・行政区116団体中、71の町内会・行政区で設立されており、全体では61.2%の組織率となっております。

 また、地区防災計画の作成につきましては、嘱託員会議、講習会、出前講座など様々な機会を捉えて依頼しておりますが、計画策定に係る事務的負担もあることから、作成が完了した自主防災組織は、現時点では確認できておりません。

 地域の実情にあった地区の防災計画は重要であるため、引き続き様々な機会に必要性を周知するとともに、作成について市において支援するなど、今後も推進していく考えであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、市内において6割を超える各町内会や行政区において自主防災組織が設立されていることが分かりました。

 地域に多くの自主防災組織が設立していることは、市民にとってもありがたいことです。

 しかし、残念ではありますが、現段階で、市地域防災計画で定める地区防災計画は作成されていない現状を理解いたしました。

 私も防災士として万が一に備え、調査、研究をしておりますが、自主防災組織設立の次のステップとしてあるのが、地区防災計画の策定であると感じています。

 地区防災計画は、あらゆる世代が地域で安心して暮らすための共助の取組です。各町内会においても、この地区防災計画の必要性を理解していても、どこから取り組むべきかなど、悩んでいるという声も耳にしています。

 私たちの地域において、災害への備えは極めて重要です。国や県からの指標やガイドラインはありますが、我が市に適した取り組みやすい地区防災計画のひな型などを作成し、住民に広く周知していくことも一つかと思います。

 また、その作成には、自治体のサポートなしでは難しい状況でもあるとも認識しておりますので、各地域への地区防災計画作成に伴うサポート体制の構築をしっかりとお願いをいたしたいと思います。

 また、市社会福祉協議会では、災害への備え、出前講座として、各地域単位において防災講座を実施していると伺いました。その中身としては、炊き出し訓練やHUGと呼ばれる避難所運営ゲーム、これは各集会所等が避難所になったことを想定し、避難所運営を模擬体験するものです。

 そのほかに、DIGと呼ばれる災図上訓練を実施しているとのことでした。これは、自分の住んでいる地域の地図を使用し、災害発生時に自分の地域にどのような危険箇所があるのか、そのとき地域で、どう対応するかといった防災マップ作りなどにも取り組んでいるとのことでした。

 この防災講座については、すばらしい取組と感じております。この講座等を通して地域の防災マップ作りで終らず、そこに自治体としても一緒に参画し、地区防災計画作成につなげていくことも十分可能と思われますので、自治体だけではなく、防災に取り組む民間企業や法人等との連携強化の取組も含め、提言をさせていただき、次の質問に移ります。

 能登半島地震においても、避難所での生活が長期化し、地震から1か月が過ぎた令和6年2月1日時点では、約1万4,000人の人が避難生活を余儀なくされているとの報道がありました。

 避難所での生活については、様々な課題があります。福島民報社、県内59市町村アンケートでは、県内46に市町村において、プライバシー確保やバリアフリー対応など、避難所の環境整備を最優先課題と回答したと新聞掲載がありました。

 こうした結果から、多くの自治体で間仕切りなど備品の確保が困難という意見も多く、多様な観点から備えを進める必要があることが分かります。

 プライバシーの確保については、特に女性や小さいお子さんがいる世代についてはとても重要な課題です。プライバシーの確保には、簡易テントや間仕切りが有効と言われております。また、感染症対策やエコノミークラス症候群の防止には、ダンボールベッドの有用性も訴えられています。

 そこで、3回目の質問です。

 当市において、避難所を開設した際のプライバシー確保についてはどのように配慮しているのか伺います。

 また、市内にもダンボールベッドを制作している業者もあり、当市としては、供給を依頼しやすい状況にあると思いますが、広範囲の災害時には、ほか市町村でも備蓄が不足されることも予想されます。そういった中、災害時における避難所運営に必要な資機材の調達については、備蓄のほか、どのような準備をしているのか伺います。

○議長(大寺正晃) 総務部長。

○総務部長(野崎秀雄) ただいまの御質問にお答えいたします。

 プライバシーへの配慮として、段ボールパーティションなどを準備しております。

 また、市内事業者と、災害時における避難所支援物資などの供給協力に関する協定を締結しており、優先的に供給していただけることとなっております。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、間仕切り等を準備してプライバシー空間を作成し、対応する準備がある、また備蓄品については、市内業者と優先協定も締結し備えをしているとのことでした。

 優先協定などがあることは万が一に備え、市民も安心ができる一つの材料であります。

 そういった中、災害の規模も予想が難しい時代となってきています。

 様々な災害に対応できるよう、優先協定を締結して終わりではなく、内容の確認や変更、必要があれば修正等を行っていただき、来るべき災害に備えをお願いしたいと思います。

○議長(大寺正晃) 暫時休憩します。

午前10時58分 休憩

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午前11時 8分 再開

○議長(大寺正晃) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 一般質問を続行いたします。

 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 次に、大項目1の(2)避難行動要支援者への対応についてであります。

 避難行動要支援者とは、災害や緊急事態などの際に、災害弱者ともいわれる特別な支援や援助が必要な方を指します。これには、高齢者、障がい者、慢性疾患を抱える人、妊婦、乳幼児などが含まれています。

 皆さんは、インクルーシブ防災という言葉を聞いたことはありますでしょうか。インクルーシブとは、全てを含むという意味ですが、これは高齢者や障がい者なども含め、誰一人取り残さない防災という意味です。

 当市としても、安心で安全に暮らすことができる須賀川市を目指す上で、このインクルーシブ防災に取り組むことがとても重要な取組であると思います。高齢者や障がい者は、災害時に福祉避難所に避難すればいいと思っている方もいるかもしれませんが、担当課へのヒヤリングを通して、福祉避難所へ避難できる対象者や条件も設定をされていることが分かりました。

 能登半島地震においても、福祉避難所の運営には、様々な課題が挙げられており、施設の損壊や人手不足により予定の2割程度の福祉避難所しか開設ができていない状況との報道もありました。

 超高齢化社会に突入している昨今、災害時の対応についても、様々な工夫や検討が必要であると感じています。

 そこで今回は、避難行動要支援者が安心して安全に避難できる体制づくりについて質問を進めたいと思います。

 先ほどの石堂議員の質問と重複をする部分もありますが、私の取り組む質問の構成上必要なため、改めて質問をさせていただきますので、御答弁を願います。

 当市において、一般避難所では生活が困難な方が拠点的福祉避難所へ行くことが想定をされていますが、改めて拠点的福祉避難所の役割や対象者、運営方法についてお伺いいたします。

○議長(大寺正晃) 総務部長。

○総務部長(野崎秀雄) ただいまの御質問にお答えいたします。

 拠点的福祉避難所の役割につきましては、身体的・精神的な事由などから一般の避難所での生活が困難な要支援者の負担を軽減するため設置するものであり、市保健センターなど3か所を指定しております。

 対象者につきましては、75歳以上の一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯、要介護3以上の居宅で生活している方、身体障害者手帳1級又は2級の所持者などを対象としており、利用に当たっては必要に応じ家族が一人付き添うものとしております。

 運営方法につきましては、災害の発生が想定される場合など、市の災害対策本部において必要性を判断し、福祉避難所運営班を招集の上、水害対策マニュアルなどに沿って運営することとしております。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、一人暮らし高齢者や高齢者世帯、要介護認定や障害の等級等において対象者が決まっていることが分かります。また、避難所では、福祉避難所運営班を招集し、設置対応するとのことでした。

 こういった対象者についても、災害時だけではなく、日頃から当事者や各支援機関に周知を図ることが重要であると思いますので、更なる周知徹底をお願いしたいと思います。

 対象者も要介護3以上や各障害等級1級、2級など、一定のサポートが必要な皆さんが避難してくることが想定されます。

 そこで、2回目の質問です。

 拠点的福祉避難所において避難してきた市民の皆さんのサポートを対応するためには、介護技術や障害特性に応じた対応ができる専門職の積極的な配置が必要と考えます。

 そこで、現在、予定されている運営に関わる職員の配置について伺います。

 また、市内における高齢者福祉の中核機関である地域包括支援センターや障害福祉分野の中核機関である基幹相談支援センター、障害者一般相談支援事業所などとの連携も含めた専門職の配置について、対応の予定があるのか伺います。

○議長(大寺正晃) 総務部長。

○総務部長(野崎秀雄) ただいまの御質問にお答えいたします。

 福祉避難所運営班につきましては、市社会福祉課、長寿福祉課を中心とした市職員で構成し、専門職として、長寿福祉課所属の保健師を配置しております。

 また、避難所における生活や福祉サービスへの相談につきましては、必要に応じ、地域包括支援センター、すかがわ地方基幹相談支援センターなどと連携しながら、その都度、対応しているところでありますが、配置につきましては、引き続きこれら団体と協議を進める考えであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) ただいま、各支援機関との協議を進めていく考えという前向きな答弁をいただきました。

 具体的にどういった団体とどのような協議がなされたかを注視をし、その協議経過については、改めて一般質問に取り組み確認をさせていただきたいと思いますので、期待をしております。

 私も社会福祉士として16年間福祉の最前線で働いてきました。その経験から、高齢者や障がい者、障がい児を持つ保護者の皆さんが避難をためらう一番の理由は、避難所に行って自分の思うような支援が受けられるのか不安なこと、そして、自分が避難所に行けば、ほかの人に迷惑をかけるのではないかというような思いを持っている方が多いということだと感じています。

 災害時における福祉避難所は、特に高齢者や障がい者などに対する支援は不可欠であります。適切な情報提供や心理的なサポートを含め、包括的なケア体制の構築を整備していくためには、積極的な福祉専門職の配置と早期の協力体制構築を改めて提言いたしまして、次の質問に移ります。

 災害時において拠点的福祉避難所で対応が難しい場合には、二次的福祉避難所へ移ることになるとヒヤリングの際にも確認をいたしております。

 市のホームページを確認しますと、66の福祉事業所と災害時支援に関して協定を締結していると記載があります。

 要介護高齢者入所施設や障がい者入所施設等が二次的福祉避難所に指定をされておりますが、実際に指定をされている事業所からは、協定は結んだが、災害時にどう対応していいか分からないなどとの不安な声も聞かれています。

 また、災害時に直接指定されている二次的福祉避難所へ行ってもいいのかなどとの当事者の声も聞かれています。

 そこで、3回目の質問です。

 拠点的福祉避難所から二次的福祉避難所への避難条件や避難の流れについて、また、その際の移送方法等について、市がどのような対応を想定しているのか伺います。

○議長(大寺正晃) 総務部長。

○総務部長(野崎秀雄) ただいまの御質問にお答えいたします。

 1点目の二次的福祉避難所につきましては、専門性の高いサービスを必要とする場合、あるいは災害の規模や種類により、拠点的福祉避難所での受入れが難しい場合などに、市から社会福祉施設などへ要請し設置するものであります。

 2点目の拠点的福祉避難所から二次的福祉避難所への移送につきましては、避難行動要支援者の家族、支援者が行うことを原則としておりますが、やむを得ず家族などによる移送が困難な場合は、移送支援の協定を締結している事業所に要請し、対応することとしております。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 避難の条件や流れ、移送方法等については、理解をいたしました。

 災害対策基本法が令和3年に改正されたことなどを受け、内閣府が作成をしている福祉避難所の確保、運営ガイドラインにも、令和3年5月に改訂をされております。

 ガイドラインの中には、行政職員、地域住民、要配慮者、社会福祉施設等幅広い関係者が参加する実践型の指定福祉避難所の設置運営訓練を企画し、実施すると記載がされております。実践型の訓練から見えてくる課題も必ずあると思います。

 いつ来るか分からない災害に備え、協定のみに終わらず、各関係機関が参加する設置運営訓練の開催を通しての備えも必要と考えます。

 先ほどの福祉避難所の確保、運営ガイドラインの改訂趣旨は、指定福祉避難所の指定を促進するとともに、事前に受入れた使用者を調整して、人的、物的体制の整備を図ることで、災害時の直接の避難等を促進し、要配慮者の支援を強化するとあります。

 本市においても、医療的ケアが必要な高齢者や障がい者、医療的ケア児などについては、避難前から通常の福祉避難所では対応が難しいことが想定されます。

 改訂されたガイドラインにも、二次的福祉避難所への直接避難の促進、地区防災計画や個別避難計画等の作成プロセス等を通じて、要配慮者の意向や地域の実情を踏まえつつ、事前に指定福祉避難所ごとに受入れ対象者の調整などを行う、また、要配慮者が日頃から利用している施設へ直接の避難を促進すると明記されています。

 そこで、4回目の質問です。

 拠点的福祉避難所へ避難し、その後、二次的福祉避難所に移送することも困難が想定される医療的ケアを必要とする方などの避難への対応方法について伺います。

○議長(大寺正晃) 総務部長。

○総務部長(野崎秀雄) ただいまの御質問にお答えいたします。

 医療的ケアを必要とする方など、自ら避難することが困難で、特に支援が必要な方につきましては、現在、避難の支援者や避難方法などを定めた避難行動要支援者個別避難計画の策定を進めており、その計画に基づき対応する考えであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、避難行動要支援者個別避難計画の策定を進めており、計画に基づき対応するとのことでした。

 医療的ケアが必要な方々などは、避難時には特に慎重かつ計画的なアプローチが求められます。また、特別な医療ニーズを理解し、それに基づいた十分な備えが必要であり、医療機器や必要な医薬品の確保、電源供給の確認など、避難先でのケアが継続できるよう計画を立てることが不可欠です。

 実際に、人工呼吸器や痰吸引器等の医療機器とともにリクライニング車椅子で避難する際、その重量は50kgを超える場合もあります。その状況で、介護者となる家族だけで避難ができるのでしょうか。

 国としても、令和元年台風19号等の近年の災害においても、多くの高齢者や障がい者などの方々が被害に遭われている状況を踏まえ、災害時の避難支援等を実効性のあるものとするためには、個人避難計画の作成が有効とされたことから、令和3年の災害対策基本法の改正により、避難行動要支援者について個別避難計画を作成することが市町村の努力義務とされました。

 そういったことから、当市としてもこの避難行動要支援者個別避難計画の作成を早急に進め、誰一人取り残さないインクルーシブ防災を展開していく必要があります。

 そこで、5回目の質問です。

 避難行動要支援者個別避難計画の対象者と当市における令和6年1月1日現在の対象者数、また現時点での作成の状況及び作成を推進するための取組について伺います。

○議長(大寺正晃) 市民福祉部長。

○市民福祉部長(秡川千寿) ただいまの御質問にお答えをいたします。

 避難行動要支援者個別避難計画の対象者につきましては、高齢者においては、要介護認定3以上の方、75歳以上の高齢者のみの世帯の方のうち、自ら避難することが困難な方など、障がい者においては、身体障害者手帳1・2級所持者のうち、視覚、聴覚の障がいや肢体不自由な方、療育手帳A所持者などとしております。

 なお、令和6年1月1日現在の避難行動要支援者個別避難計画作成の対象者数は、4,020人となっております。

 次に、計画作成の状況についてでありますが、現在、浸水想定区域に居住しかつ自ら避難することが困難な要介護高齢者などに対する課題などの洗い出しを行っているところであり、これを避難行動要支援者個別避難計画作成のモデル事業として進めていく考えであります。

 また、今後は、モデル事業の検証を踏まえ、介護保険サービス事業者や障害福祉サービス事業者、地域関係者などの協力を得るなど推進体制を整え、避難行動要支援者個別避難計画が実効性の高いものとなるよう努めていく考えであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 避難行動要支援者個別避難計画について、現在の取組と進捗について理解をいたしました。

 これは、対象者数の4,020人という多くの市民の命がかかった施策です。特に、浸水想定区域の要介護高齢者や障がい者に焦点を当てたモデル事業の進捗に期待をしております。

 ただし、具体的な作成数や進捗に関する数字が把握できていないため、これからもこの施策についても注視し、モデル事業の分析、評価後に改めて確認をさせていただきたいと思います。

 市としては、引き続き協力機関との連携やモデル事業の進捗報告等を行い、市民に対しても情報の周知を強化するよう提言いたします。

 地域共生社会とは、単なる共存だけではなく相互に理解し合い、共に生活を豊かにし、災害時などの困難な状況においても、協力し合う社会の構築を目指していくものと理解をしております。

 そういったことから、今後も、地域の特性や住民の声に敏感に対応し、包括的な福祉避難計画の構築に全力で取り組んでいただきたいと思います。

 災害時における包括的で効果的な支援が提供され、須賀川市は誰一人取り残さない防災体制があると市民に安心してもらえる早期体制整備を求め、次の質問に移ります。

2 人口減少への対策について 

(1) 移住・定住促進に向けた取り組みについて

次に、大項目2の人口減少への対策について。

 (1)移住・定住促進に向けた取組についてであります。

 我が国の人口は平成20年をピークに減少に転じており、厚生労働省では今後も人口が減少し続けると見込んでいます。

 厚生労働省の最新の調査では、2050年の福島県人口は124万7,000人とみこまれ、2020年の183万3,000人から約3割減少し、65歳以上の高齢者が占める割合は4割を超えると発表されております。

 本市においても、2022年4月に長沼地域や岩瀬地域が過疎地域と指定されるなど、人口減少の課題は顕著であり、若い世代の人口が減少している一方で、高齢者の割合は増加しており、人口減少とともに少子高齢化が進んでいる現状であります。

 それでは、質問をさせていただきます。

 本市の人口の推移と今後の見通しについてお伺いいたします。

○議長(大寺正晃) 企画政策部長。

○企画政策部長(野沢正行) ただいまの御質問にお答えいたします。

 国勢調査における本市の人口の推移は、平成17年の8万364人をピークに、10年後の27年には7万7,441人、令和2年には7万4,992人となり、減少傾向が続いております。

 今後の人口の見通しとしては、市第9次総合計画における推計で、令和9年に約7万2,000人、14年に約7万人としており、人口の減少傾向は続くものと考えております。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、9年後の令和14年には7万人となるとの予測が分かりました。

 人口減少が間違いなく進んでいく予測の中、市第9次総合計画の中では、人口の減少率を抑制するための移住・定住施策を始めとする各種施策を積極的に推進をしていくとの明記がされております。

 そこで、2回目の質問です。

 本市が実施をしている移住・定住政策の主な内容について伺います。

 また、その実施施策の実績及び活用された方々の傾向についてお伺いいたします。

○議長(大寺正晃) 企画政策部長。

○企画政策部長(野沢正行) ただいまの御質問にお答えいたします。

 市の主な移住・定住政策としては、1つには、県外から本市へ移住し、住宅を取得する方を対象に、その取得にかかる費用の一部を助成する移住・定住促進住宅取得等補助金。2つには、本市への移住を検討している方などを対象に、実際に市内の住宅に短期間滞在していただき、移住後の生活をイメージしていただくことを目的とする、お試し居住を実施しているところであります。

 また、実績等につきましては、移住・定住促進住宅取得等補助金の令和2年度から本年1月末までの実績は、18世帯で49人が本市へ移住しております。

 傾向としては、関東圏からの移住が約8割、子育て世代が約7割であります。

 次に、お試し居住の、昨年10月から本年1月末までの活用実績は、7世帯14人であります。

 なお、関東圏からの利用者が約9割、親子での利用が約6割であります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) ただいまの答弁から、主な施策や実績、また、活用されている方々の傾向については理解いたしました。

 この施策展開には、施策実績や傾向をしっかりと分析し、特定のターゲットを設定することが重要であると思います。

 特定の層に焦点を充てることで、その層の関心を引く施策やプログラムに移送層を集中させ、より効果的で成果が期待できるのではないでしょうか。また、移住先の特徴やメリットを的確に伝えるプロモーションも可能になると考えます。

 そこで、3回目の質問です。

 当市においての移住・定住政策についても、よりターゲットを絞りつつ施策を展開していくべきと考えますが、当市の考えをお伺いいたします。

○議長(大寺正晃) 企画政策部長。

○企画政策部長(野沢正行) ただいまの御質問にお答えいたします。

 移住・定住を促進するに当たりましては、取り組む事業の目的に応じて対象を明確にすることが重要であると考えており、移住・定住促進住宅取得等補助金においては、これまでの傾向を踏まえ、令和6年度からは子育て世帯への支援を重点に取り組むなど、これまで以上に対象を絞りながら、効果的に事業を推進していく考えであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 今後の施策展開には、対象を明確にし、事業推進を図るということでした。

 限られた予算の中で最大の効果を発揮できる施策展開を引き続きお願いしたいと思います。

 次に、大項目2の(2)子育て世代の定住促進についてです。

 私自身も2人の子供の子育てをしている子育て世代の代表として、このテーマの質問に入らせていただきます。

 ここで、一つのデータを御紹介いたします。

 大学生、大学院生の約2割が、子供は欲しくないと考えていることが、就職情報サイト運営するマイナビの調査結果で分かりました。子供が欲しくないと回答したのは、女子が23.5%、男子の12.1%を大きく上回っています。この結果は、育児休業の取得が仕事に影響する不安や家庭での育児の分担の男女差などが要因とのことです。子供は欲しくないと回答した中で、最も多い理由が、うまく育てられる自信がないで57.4%でした。こうしたデータから若い世代の多くが将来の子育てに不安を感じていることが分かります。

 こうした子育てに関する不安を解消するためには、当市でも産前産後、家庭支援ヘルパー派遣事業や家庭訪問型子育て支援ホームスタート事業などの展開があり、ソフト面のサポートについて評価をしております。

 こうした子育て環境にある世帯の孤立を防ぎ、母親や父親同士のつながりの提供による対策や家庭での子育てサポートなどの相談体制強化も、子育て世代の定住につながるのではと考えます。

 当市としては、市第9次総合計画において、子育て環境の充実として、幼児教育、保育の充実、子育て支援の充実、妊産婦と子供の健康管理の充実に努め、安心して子供を産み、育てることができる環境を目指しますとの基本方針があります。

(2) 子育て世代の定住促進について 

そこで、1回目の質問です。

 子育て世代の定住促進に向けた市の方針と、安心して子育てができる環境整備のためにどのような施策に取り組まれているのかお伺いします。

○議長(大寺正晃) 教育部長。

○教育部長(角田良一) ただいまの御質問にお答えいたします。

 子育て世代の定住促進に向けた方針といたしましては、住み続けたいと感じていただけるよう、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援により、安心して子供を産み育てられる環境の整備が重要と考えております。

 現在取り組んでいる主な施策といたしましては、新婚世帯や零歳児養育者への経済支援を始め、3歳児から5歳児までの幼児教育・保育無償化に合わせた市独自の給食費無償化や産科・小児科医療体制の確保、更には、確かな学力や豊かな心と体を育むため、小中一貫教育須賀川モデルやGIGAスクール構想などを推進しているところであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 答弁から、切れ目のない支援により、安心して子供を産み育てられる環境整備が重要であり、各施策に取り組まれていることが分かりました。

 経済的支援の施策も重要ではありますが、子育てをする際の心の不安にも寄り添えるより一層の相談体制の充実にも期待をしたいと思います。

 子育て世代向けの施策を充実させるためには、市民の声を把握することが非常に重要です。子育て施策に市民の意見や要望を取り入れることで、子育て世代が抱える悩みや課題を正確に把握し、それに対応する具体的な方針を効果的に策定できるようになると思います。

 ここで、2回目の質問です。

 市が子育て世代の声を把握するために、市民とのコミュニケーションをどのように図っているのか。また、その具体的な手段などについて伺います。

 さらに、市民から寄せられる子育てに関する意見や要望はどのようなものがあるか。市が子育て世代から寄せられる声に対して、どのように対応をしているのかについてもお伺いします。

○議長(大寺正晃) 教育部長。

○教育部長(角田良一) ただいまの御質問にお答えいたします。

 市では、2年に一度市民アンケートを実施しており、昨年2月の実施結果では、中学生以下の子供を持つ保護者で、「今後もこの地域で子育てをしたいと思う」と答えた割合は81.3%でありました。

 一方「そう思わない」と答えた割合は、18.7%であり、その主な理由といたしましては、経済的支援の不足が33.3%、子供の遊び場の不足が23.1%、保育所、幼稚園、こども園などの預け先の不足が15.4%でありました。

 対応といたしましては、子育て世代のニーズに合致した施策となるよう幼児教育・保育の充実に努めているところであり、本年度は18歳以下の子供がいる全ての世帯に対し、市独自で子育て世帯応援金を支給したほか、公立と私立の認定こども園の整備などに取り組んでおります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 2年に一度の市民アンケートにより様々な意見や要望があることが分かりました。

 子育て世代の声に寄り添い、市の子育て施策が市民の期待に沿えるようになれば子育て世代はより安心して地域に根差し、この地域に住み続けたいと定住促進につながるとも考えます。

 茨城県阿見町では、長らく4万8,000人前後で推移していた人口が、5万人を超えたという報道がありました。2023年の転入超過率は536人と全国の町村でも最も多くなっています。これは、ランドセル支給事業や病児保育の開始、学校給食無料化の拡大、医療費無料化などの子育て支援策を全面に打ち出すことで、子育て真っただ中の世代や働き盛りの家族中心の転入が進んだということです。

 ここで、3回目の質問です。

 当市においても、人口減少のスピードを少しでも緩やかにするためには、若い世代や子育て世代の定住促進が不可欠です。

 そこで、子育て世代の定住促進に向けて、今後更に重点的に取り組んでいく必要があると考えますが、今後の市の取組や方針、令和6年度の市の施策についてお伺いします。

○議長(大寺正晃) 教育長。

○教育長(森合義衛) ただいまの御質問にお答えいたします。

 子育て世代の定住促進は、人口減少対策として重要であると考えており、今後とも、市民のニーズや多様な環境変化に対応した、子育て環境と学校教育の充実に努めていく考えであります。

 令和6年度の主な施策といたしましては、幼児教育・保育の充実を図るため、長沼地域において、保育施設を認定こども園に改編した長沼こども園と長沼東こども園を、仁井田地区におきましては、私立認定こども園仁井田の杜、わかばこども園をそれぞれ開園するほか、稲田幼稚園におきましては、新たに3歳児学級を開設いたします。

 また、保育・幼児教育施設や学校などにおきまして、出欠席や体調のやり取りが行える健康観察アプリを導入するなど、保護者の負担軽減にも努める考えであります。

○議長(大寺正晃) 1番、深谷勝仁議員。

○1番(深谷勝仁) 答弁にもありましたが、時代の変化にも合わせた効果的な子育て支援策の充実と学校教育の充実に努めていただければと思います。

 アプリの導入については、モデル事業で実際に使用した保護者の方にお話を伺ってきました。保護者の方は、アプリを使用することにより、日常的な学校との健康管理の報告、風邪などでの学校との連絡調整の負担軽減が大きく図られているとのお話がありました。

 今後も引き続き、デジタル化の推進により、保護者や学校の先生方の負担軽減につながる施策展開を進めていただきたいと思います。

 先ほども話しましたが、市民とのコミュニケーションを強化して、子育て世代の生活や思いを理解することで、より効果的で温かみのある支援ができると思います。

 答弁でも、アンケートを実施をしているとのことでしたが、子育て環境が変化する中で、限られた予算で効果的に施策展開することが求められます。そのためにも、地域を限定せず、全子育て世代への同時期にアンケートを実施し、市民が今求められている施策を明確にし、選択と集中で子育て環境の充実が図られればと考えます。

 また、健康観察アプリの導入についても答弁がありましたが、デジタル化が進む時代ですので、アンケートの実施についても、アプリや公式LINE等を使用すれば、低予算で実施も可能と考えますので、提言をさせていただきます。  今後も引き続き未来を担う子供たち、若い世代や子育て世代が安心して、この須賀川で暮らし続けたいと思えるような施策の展開を期待するとともに、私も調査研究をしていくことをお約束し、一般質問を終わります。

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